
プルリクエストでよく起こるコミュニケーションギャップ
こんばんは!IT業界で働くアライグマです!
プルリクエスト(Pull Request、以下PR)は、コードレビューを通じて品質を向上させるために欠かせないプロセスです。しかし、PRがスムーズに進まない原因の多くは「技術的な問題」ではなく「コミュニケーションギャップ」にあります。
「この実装、なぜこうなったの?」
「意図がわからない…」
「レビューの指摘が厳しすぎる…」
こうしたすれ違いが発生すると、PRがストレスの原因になり、開発の生産性も下がってしまいます。本記事では、PRで起こりがちなコミュニケーションギャップと、その解決策を紹介します。
よくあるプルリクエストのコミュニケーションギャップ
レビュアーの指摘が「何を求めているのか分からない」
PRのレビューコメントで、次のような指摘を受けたことはありませんか?
- 「このロジック、もう少しシンプルにできませんか?」
- 「ここ、改善の余地がありますね」
- 「別の方法の方が良さそうです」
レビュイー(PRを作成した人)からすると、「何をどう直せばいいのか分からない」と困惑します。レビュアーも悪気があるわけではなく、「なんとなく違和感があるけど、具体的に指摘しづらい」という状況だったりします。
解決策:具体的な指摘と提案をセットにする
「問題点の指摘」+「改善提案」の形でコメントを書くと、レビュイーが理解しやすくなります。
悪い例:
「ここ、改善できませんか?」
良い例:
「この処理、
array_map
を使うともっと簡潔に書けそうです。例えば以下のような形はどうでしょう?」
具体的な提案があると、レビュイーは納得感を持って修正できます。
レビュアーごとに基準がバラバラ
あるレビュアーからは「もっと細かくコメントを書いてください」と言われ、別のレビュアーからは「コメントが多すぎて冗長」と指摘される…。こうしたレビュアーごとの基準の違いは、レビュイーにとって大きな負担になります。
解決策:チームのコーディング規約を明確にする
チームで「どこまで細かく指摘するのか」「どのレベルでコメントを書くべきか」などの共通ルールを決めると、PRのばらつきを減らせます。
例えば、次のようなガイドラインを作ると統一感が出ます。
- コメントのルール:「誤解を生みやすい部分にはコメントを書くが、明らかに意図が明確な部分には不要」
- コードフォーマット:「PrettierやESLintなどの自動整形ツールを使用し、スタイルに関する指摘は不要にする」
- レビューの方針:「動作確認をした上でApproveする」「必ず改善案を添える」
こうしたルールをドキュメント化し、全員が参照できるようにすることで、PRの基準が揃いやすくなります。
文章だけでは意図が伝わらず、誤解が生じる
テキストだけのやり取りでは、ちょっとした表現が冷たく感じられることがあります。
例えば、「もっと簡潔に書けると思います」というコメントは、ニュートラルな指摘のつもりでも、受け取る側は「コードがダメだと言われている?」と感じることがあります。
解決策:感情が伝わる工夫をする
- ポジティブな表現を意識する:「ダメ」ではなく「こうするともっと良くなります」
- 簡単な補足を入れる:「私も以前悩んだのですが、この方法だとシンプルになります」
- 適度に絵文字や顔文字を使う:「ここ、改善できるかも?🙂」
特にリモートワークでは、相手の顔が見えない分、テキストの印象が強くなるため、より気を遣うことが大切です。
PRの背景情報が不足し、レビューしづらい
「なぜこの修正が必要なのか」「どんな意図で実装したのか」が説明されていないPRは、レビュアーにとって非常にレビューしづらいです。
レビュアーがコードを見て「この処理、何のために追加されたんだろう?」と悩むと、余計な時間がかかってしまいます。
解決策:PRの説明をしっかり書く
PRの概要欄に、次の情報を明記すると、スムーズなレビューが可能になります。
- 目的:なぜこの修正を行ったのか
- 変更内容:どんな実装をしたのか
- 影響範囲:この変更が影響を与える範囲
- 動作確認方法:どのようにテストしたか
悪い例(説明不足):
「バグ修正しました」
良い例(詳細な説明):
「〇〇機能で、特定の条件下でエラーが発生する問題を修正しました。原因は〇〇で、△△を修正することで対応しました。ローカルでのテストおよびCIの自動テストを通過しています。」
このように書くと、レビュアーはコードを読む前に背景を理解できるので、効率的にレビューできます。
まとめ
PRは、単なるコードチェックの場ではなく、チーム内の円滑なコミュニケーションを生み出すためのツールです。しかし、言葉の選び方やルールの曖昧さによって、コミュニケーションギャップが発生しやすいのも事実です。
こうしたギャップを防ぐために、次のポイントを意識しましょう。
- 具体的な指摘と提案をセットにする
- チーム内でコーディング規約を統一する
- ポジティブな表現を意識し、誤解を避ける
- PRの説明をしっかり書き、背景を共有する
適切なコミュニケーションを心がけることで、PRは「指摘の場」ではなく「チームの成長の場」になります。お互いに気持ちよくレビューできる環境を整え、より良い開発プロセスを目指しましょう。