
バグとエラーの違い、今さら聞けない?現役エンジニアがこっそり教えます
こんばんは!IT業界で働くアライグマです!
IT業界やソフトウェア開発の現場にいると、「バグ」や「エラー」という言葉を日常的に耳にしますよね。「昨日リリースした機能でバグが見つかって…」「この操作をするとエラーが出るんだけど…」といった会話は、エンジニアにとっては日常茶飯事かもしれません。
でも、この「バグ」と「エラー」、実は微妙に意味が違うってご存知でしたか?似たような状況で使われることも多いので、混同してしまっている方もいるかもしれません。「今さら基本的なことを聞くのはちょっと恥ずかしいな…」なんて思っている方もいるのではないでしょうか。
大丈夫です!この記事では、現役エンジニアである私が、「バグ」と「エラー」の明確な違いと、その関係性について、初心者の方にも分かりやすく、こっそり(?)解説していきます。この機会にしっかり理解して、自信を持って使い分けられるようになりましょう!
そもそも「バグ」とは何か?
まずは「バグ(Bug)」から見ていきましょう。
バグの語源
「バグ」という言葉の語源には有名な逸話があります。昔の大型コンピュータが不調を起こした際、原因を調査したところ、内部に本物の「虫(Bug)」が挟まっていた、という話です。これが転じて、コンピュータプログラムの欠陥を「バグ」と呼ぶようになったと言われています。(諸説あります)
バグの定義:プログラムの設計上の誤りや欠陥
現代のソフトウェア開発における「バグ」とは、プログラムの設計やコーディングにおける誤り、欠陥、不具合のことを指します。つまり、プログラムが意図した通りに動作しない原因となる、ソフトウェア内部に存在する問題点のことです。
バグの具体例
- 特定のボタンを押すとアプリケーションが強制終了してしまう。
- 消費税の計算結果が常に1円ずれている。
- ユーザー登録したはずなのに、ログイン画面で「ユーザーが存在しません」と表示される。
- 入力フォームに特定の記号を入れると、画面表示が崩れる(クロスサイトスクリプティングなどの脆弱性もバグの一種です)。
これらはすべて、プログラムのどこかに設計上または実装上の「誤り=バグ」が存在するために発生する現象です。
バグの原因
バグが発生する原因は様々です。
- 単純なコーディングミス(タイプミス、ロジックの間違い)
- ソフトウェアの設計段階での考慮漏れ
- 仕様の理解不足や誤解
- 他のプログラムとの連携部分での問題
など、開発プロセスの様々な段階でバグは生まれる可能性があります。
バグは「そこに潜んでいる」もの
重要なのは、バグはソフトウェアの中に「潜んでいる」ものだという点です。ユーザーが特定の操作をする、特定のデータが入力される、特定の環境で実行されるなど、何らかの条件が満たされたときに、その存在が表面化し、問題を引き起こします。
では、「エラー」とは何か?
次に「エラー(Error)」について見ていきましょう。
エラーの定義:プログラム実行中に発生する異常な状態や予期せぬ出来事
「エラー」とは、プログラムが実行されている最中に発生する、正常ではない状態や予期せぬ出来事を指します。プログラムが処理を継続できなくなったり、期待通りではない結果になったりする「状況」や「事象」そのものを指すことが多いです。
エラーの種類
エラーにはいくつかの種類がありますが、大きく分けると以下のようになります。
コンパイルエラー(文法エラー)
これは、プログラムのソースコードをコンピュータが実行できる形式(機械語)に変換(コンパイル)する際に発生するエラーです。主に、プログラミング言語の文法的な誤りが原因です。例えば、スペルミス、括弧の閉じ忘れ、命令の記述間違いなどがあると、コンパイルは失敗し、エラーメッセージが表示されます。この段階のエラーは、プログラムを実行する前に検出されるため、比較的修正しやすいと言えます。
ランタイムエラー(実行時エラー)
こちらは、プログラムの実行中に発生するエラーです。コンパイルは成功しても、実際に動かしてみると問題が発生するケースです。例としては、
- ゼロ除算エラー: 数値をゼロで割ろうとした。
- NullPointerException / NoneReferenceError: 何も入っていない(Null/None)変数の中身を使おうとした。
- メモリ不足エラー: プログラムが使用できるメモリ量を超えてしまった。
- FileNotFoundError: 存在しないファイルを開こうとした。
- ネットワーク接続エラー: 外部のサーバーに接続できなかった。
などが挙げられます。
エラーは「発生するもの」
バグが「潜んでいる」ものだとすれば、エラーはプログラム実行時に「発生する」もの、あるいは「検出される」ものと言えます。多くの場合、ユーザーが直接「エラーが発生しました」といったメッセージを目にするのは、このランタイムエラーのケースです。
バグとエラーの関係性:どう繋がっている?
ここまでで、バグとエラーが異なる概念であることはご理解いただけたかと思います。では、この二つはどのように関係しているのでしょうか?
バグがエラーを引き起こす
最も多い関係性は、「バグ」が原因となって「エラー」が発生するというパターンです。
- 例1: 配列(データを順番に並べたもの)の範囲を超えてアクセスしようとするコーディング上の「バグ」があると、プログラム実行時に「ArrayIndexOutOfBoundsException」のような「エラー」が発生します。
- 例2: ユーザーが入力した数値を使って計算するプログラムで、ゼロが入力される可能性を考慮していない(入力チェック漏れという)「バグ」があると、実際にゼロが入力された場合に「ゼロ除算エラー」が発生します。
- 例3: データベースから取得したデータが空(Null)になるケースを想定していない「バグ」があると、そのデータを使おうとした瞬間に「NullPointerException」という「エラー」が発生します。
このように、プログラム内部に潜んでいたバグが、特定の条件下で顕在化し、ランタイムエラーという形で現れるのです。
エラーは必ずしもバグが原因ではない
ここが重要なポイントですが、エラーが発生したからといって、必ずしもプログラムにバグがあるとは限りません。
- 例1: ユーザーが利用しているネットワーク回線が不安定で、サーバーへの接続に失敗し、「ネットワーク接続エラー」が発生した場合。これはプログラム自体の欠陥(バグ)ではなく、外部環境の問題です。
- 例2: ユーザーが存在しないファイル名を指定してファイルを開こうとした場合に、プログラムが「ファイルが見つかりません」という適切な「エラーメッセージ」を表示する場合。これはバグではなく、予期される異常系をプログラムが正しく処理(エラーハンドリング)している状態です。
- 例3: サーバーのディスク容量がいっぱいになってしまい、データの書き込みができずに「ディスク容量不足エラー」が発生した場合。これもプログラムのバグではなく、動作環境(インフラ)の問題です。
エラーハンドリングの重要性
プログラムにバグがなくてもエラーが発生しうることから、エンジニアは予期されるエラー(ネットワーク障害、不正な入力、リソース不足など)に対して、プログラムが異常終了したり、おかしな動作をしたりしないように備える必要があります。これを「エラーハンドリング」と言います。適切にエラーハンドリングされたプログラムは、エラー発生時にも安全に処理を中断したり、ユーザーに分かりやすいメッセージを表示したりすることができます。
エンジニアはどう使い分けている?(現場の視点)
現場のエンジニアは、これらの言葉をどのように使い分けているのでしょうか。
厳密な定義と日常会話での使い分け
厳密には上記のような違いがありますが、日常会話では少し曖昧に使われることもあります。「なんかエラー出てるから、バグってるかもね」のように、エラー発生をバグの兆候として話すこともあります。
しかし、問題解決や報告の際には、より正確な使い分けが求められます。
「バグを修正する」 vs 「エラーに対処する」
- 「バグを修正する(デバッグ)」 と言うときは、プログラムコードの誤りや設計上の欠陥を特定し、それを直す作業を指します。
- 「エラーに対処する(エラーハンドリング)」 と言うときは、プログラム実行中に発生しうる異常事態(必ずしもバグが原因ではない)を検知し、適切に処理するコードを追加・修正する作業を指すことが多いです。また、発生したエラーの原因調査や、環境要因によるエラーの解決なども含みます。
テストにおける「バグ発見」と「エラー検出」
ソフトウェアテストでは、意図しない動作や仕様とのずれ、つまり「バグ」を発見することが主な目的の一つです。テスト中にプログラムが異常終了したり、エラーメッセージが表示されたりした場合、それは「エラー」が検出された状態であり、その原因として「バグ」が潜んでいる可能性が高いと考え、調査を進めます。
報告時の使い分け
ユーザーから「〇〇したらエラーが出ました」という報告を受けた場合、開発チーム内では「ユーザー報告のエラーについて、原因となるバグを調査しよう」といったコミュニケーションになります。ユーザーが見ているのは表面的な「エラー」であり、エンジニアはその根本原因である「バグ」を探す、という関係性です。
まとめ
さて、「バグ」と「エラー」の違い、ご理解いただけたでしょうか?最後にポイントを整理しましょう。
- バグ: ソフトウェアの設計やコードに存在する「誤り」や「欠陥」のこと。プログラム内部に潜んでいる。
- エラー: プログラム実行中に発生する「異常な状態」や「予期せぬ出来事」のこと。表面化し、検出されるもの。
そして、重要な関係性として、
- バグはエラーを引き起こす主な原因である。
- しかし、エラーは必ずしもバグが原因とは限らない(外部要因や予期された異常系の場合もある)。
これらの言葉の意味を正しく理解し、使い分けることは、エンジニア同士はもちろん、企画担当者やユーザーとの円滑なコミュニケーションや、迅速な問題解決に繋がります。
「今さら聞けない…」と思っていた方も、これでスッキリしたのではないでしょうか。自信を持ってこれらの言葉を使っていきましょう!