会議中の「エンジニア以外が使う技術用語」の違和感

こんばんは!IT業界で働くアライグマです!

エンジニアとして働いていると、会議中に思わず違和感を覚える瞬間があります。それは、エンジニア以外のメンバーが技術用語を使うときです。もちろん、技術の話がビジネス側と共有されることは重要です。しかし、その技術用語の使い方が微妙にズレていたり、文脈に合わなかったりすると、「いや、それはちょっと違うんだけど…」と感じてしまうことも少なくありません。

たとえば、こんな会話を耳にしたことはないでしょうか?

  • 「クラウドだから、データは全部安全ですよね?」
  • 「このシステムって、AIで動いてるんですよね?」
  • 「もっとアジャイルに開発してください!」

このような発言に対して、「それはクラウドの特性を正しく理解した上での発言なのか?」「AIって言ってるけど、機械学習とルールベースの違いは分かってるのか?」「アジャイルって具体的に何を指しているのか?」と、心の中で疑問が湧くことはないでしょうか。

技術用語が正しく理解されずに使われることは、単なる違和感にとどまらず、プロジェクトの方向性を誤らせる要因にもなりかねません。本記事では、エンジニア以外が技術用語を使うことの問題点、誤解が生じる理由、そしてどうすれば正しく技術の知識を共有できるのかについて考察していきます。

技術用語の誤用が引き起こす問題

ビジネスサイドや経営層が技術用語を使うこと自体は、決して悪いことではありません。むしろ、エンジニアと共通の言語で話そうとする努力は評価されるべきです。しかし、技術的な知識がないまま使われると、以下のような問題が発生します。

意味がズレたまま議論が進む

会議での発言が曖昧なまま進むと、エンジニアは適切な対応が難しくなります。たとえば、ビジネス側のメンバーが「サーバレスで実装できますよね?」と言ったとしましょう。エンジニアの頭の中には、AWS Lambda や Firebase Functions のような具体的な技術が浮かびます。しかし、発言した側は「サーバ管理が不要なこと」を単に指しているだけかもしれません。

このように、言葉の定義が曖昧なまま会話が進むと、認識のズレが最後まで修正されないままプロジェクトが進行するリスクがあります。結果として、最終的に「そんなつもりじゃなかった」という事態になりかねません。

バズワード化した技術用語の氾濫

「AI」「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「ブロックチェーン」「クラウドネイティブ」など、特定の技術用語がバズワード化していることも、違和感を生む原因の一つです。

たとえば、「AIを活用して業務効率化を図りたい」といった発言があったとします。しかし、AIといっても機械学習のモデルを作るのか、単なるルールベースの自動化なのかによって、やるべきことは大きく異なります。

「AIを導入すれば何でも自動化できる」と思っている人がいると、エンジニアはその誤解を解くために多くの時間を割くことになります。初から正しい理解が共有されていれば、無駄なやり取りを減らせるはずです

なぜ誤用が生まれるのか?

エンジニア以外の人々が技術用語を誤って使う背景には、いくつかの要因があります。

流行のキーワードを使いたい心理

ビジネスの現場では、最新技術のトレンドを押さえていることが「知識がある」と評価されがちです。そのため、マネジメント層や営業担当者が、流行の技術用語を積極的に使いたがる傾向があります。

しかし、その言葉の意味を正しく理解しないまま使われると、エンジニアとの間で認識のズレが生じます。

技術のブラックボックス化

エンジニア以外のメンバーにとって、システムの内部構造はブラックボックスです。そのため、「API」「クラウド」「マイクロサービス」などの表面的な言葉だけが独り歩きしてしまうことがあります。

たとえば、「APIを公開すればすぐに他のサービスと連携できる」と思っている人がいた場合、エンジニア側は「いや、それには認証の設計やエンドポイントの仕様を決める必要があって…」と説明することになります。

このように、技術の詳細を知らないまま用語を使うと、誤解を招く発言になりやすいのです。

認識のズレを解消するために

技術用語の誤用や違和感をなくし、スムーズなコミュニケーションを実現するには、いくつかの工夫が必要です。

技術用語の定義を明確にする

会議の場では、「この場では○○という言葉をどういう意味で使うのか?」を明確にしておくことが重要です。

たとえば、

  • 「クラウド」という言葉を使う場合、それが単にAWSやGCPを指すのか、オンプレミスと対比した概念として使っているのかを確認する
  • 「AI」と言うときは、機械学習なのか、単なるルールベースの自動化なのかを明確にする

用語の定義を共有することで、認識のズレを防ぐことができます。

エンジニアが分かりやすく説明する

エンジニア側も、専門用語をかみ砕いて説明する努力が必要です。

たとえば、「この処理は非同期で実行されます」と言うだけではなく、

「この機能は、裏側で同時に複数の作業をこなせる仕組みになっています。そのため、結果がすぐに返ってくるわけではなく、少し時間がかかることがあります」
のように、具体的なイメージを伝えることが大切です。

「分かったつもり」をなくす文化を作る

会議の場では、技術用語が飛び交うと「よく分からないけど流しておこう」と思ってしまうことがあります。しかし、それが後々の認識ズレにつながります。

「この言葉って、具体的にどういう意味ですか?」と気軽に質問できる文化を作ることで、誤解を減らすことができます。

まとめ

技術用語が誤って使われることによる違和感は、多くのエンジニアが感じているものです。しかし、それを単なる違和感として放置するのではなく、認識のズレを解消する仕組みを作ることで、より良いコミュニケーションが実現できます