「仕様です」で片付けるエンジニアあるある

こんばんは!IT業界で働くアライグマです!

エンジニアの世界で頻繁に耳にするフレーズの一つに「仕様です」があります。バグや動作に関する質問を受けたとき、このフレーズは便利でよく使われる一方、言葉の裏には深い事情や複雑な背景が隠れています。特に非エンジニアの人々にはこの言葉が「問題の本質をはぐらかしている」と感じられることもあります。本記事では、「仕様です」が使われる理由やその影響、適切な使い方について掘り下げていきます。

「仕様です」が使われる4つの理由

  1. 本当に仕様通りの動作である場合
    システムやアプリケーションが設計通りに動作しているとき、エンジニアはその説明を「仕様です」と簡潔に伝えることがあります。たとえば、ボタンが特定の条件下で非表示になるのが意図的な設計であれば、「それは仕様で、そのように動作するのが正しい」と回答します。
  2. 仕様変更が難しい場合
    プロジェクトの進行中に、クライアントや他部門から「この部分をこう変えられないか」とリクエストが入ることがあります。しかし、仕様変更にはコストやリスクが伴うため、簡単には応じられません。こうした場合に「現状の仕様で問題ない」と断るニュアンスで「仕様です」と回答するケースも多いです。
  3. コミュニケーションを簡略化したい場合
    エンジニアが全ての質問に対して詳細に回答するのは現実的ではありません。時間や労力の節約のため、特に大きな問題ではない場合には「仕様です」と一言で片付けることがあります。
  4. 誤魔化しや逃げ道として使う場合
    ときには「仕様です」が言い訳や責任回避として使われる場合もあります。バグや設計ミスを認めたくない場面では、「それは仕様として設計されています」と言うことで、その場をやり過ごそうとすることがあります。ただし、これは信頼を損ねるリスクが高く、避けるべき使い方です。

「仕様です」が引き起こす問題

「仕様です」というフレーズは、その便利さからエンジニアにとって定番ですが、一方でコミュニケーション上の摩擦を生むことがあります。具体的には以下のようなケースが挙げられます。

  1. クライアントの不信感を招く
    クライアントや顧客が不具合や改善提案をしたときに「仕様です」とだけ回答すると、相手は「解決する気がない」と感じるかもしれません。特に技術に詳しくないクライアントにとっては、このフレーズが冷たく、不親切に響くことがあります。
  2. 社内コミュニケーションの停滞
    同僚や他部署とのやり取りで「仕様です」が繰り返されると、議論が進まなくなり、チームの生産性が低下する原因になります。特に、根本的な問題解決が必要な場面では、この言葉が「議論の打ち切り」を意味する場合もあり、不満が蓄積することがあります。
  3. ユーザー体験の悪化
    エンドユーザーから見れば、「仕様」で片付けられる問題の多くは、単なる使いにくさや不具合と感じられることがあります。これが続くと、製品やサービスへの不満が蓄積し、結果としてユーザー離れを引き起こす可能性もあります。

「仕様です」を使う場面での失敗と教訓

「仕様です」が無意識のうちに誤解を招いたり、信頼を失ったりするケースもあります。例えば以下のような失敗例が挙げられます。

  • クライアント対応での行き違い
    クライアントがシステムの動作に疑問を抱き、「この部分はバグですか?」と尋ねた際に「仕様です」と答えた結果、「改善してくれないのか」と不満を持たれるケースがあります。この場合、仕様の理由や背景をしっかり説明していれば、クライアントの理解を得られた可能性が高いです。
  • ユーザーサポートでの不信感
    エンドユーザーからの問い合わせに対して、サポート担当が「それは仕様です」とだけ返答したことで、ユーザーが「使いにくいサービスだ」と感じ、解約に至った事例もあります。ユーザーとの接点では、技術的な説明よりも「どうすれば問題が解消されるのか」を伝えることが重要です。
  • 新人エンジニアの誤用
    新人エンジニアが、問題の本質を理解せずに「仕様だから」と回答してしまい、後に先輩から「それは本来の仕様ではない」と指摘される場面もあります。この場合、仕様を正しく理解する姿勢と、問題解決への積極性が求められます。

「仕様です」を適切に使うためのポイント

「仕様です」という言葉自体は便利ですが、適切に使わないと誤解を招いたり、信頼を損ねる原因になります。以下のポイントを意識することで、より円滑なコミュニケーションを図ることができます。

  1. 理由や背景を説明する
    「仕様です」と言うだけではなく、なぜそのような仕様になっているのかを簡潔に説明することが大切です。

    • 悪例:「これは仕様です。」
    • 良例:「負荷軽減のため、一定の条件下ではこの機能が無効化される仕様になっています。」
  2. 代替案を提示する
    もし仕様が不満や問題を生んでいる場合は、代替案や改善案を提案することで、相手の納得感を高められます。
  3. 相手の立場を理解する
    エンジニアにとっては当たり前の仕様でも、非エンジニアには理解しづらいことが多いです。相手の知識や状況に応じた説明を心がけましょう。
  4. 責任を曖昧にしない
    「仕様です」を言い訳や責任回避として使うのではなく、問題に正面から向き合う姿勢を見せることが信頼構築につながります。

まとめ

「仕様です」というフレーズは、エンジニアにとっては使いやすく便利な言葉ですが、時にはコミュニケーションを停滞させたり、誤解を招いたりするリスクもあります。その背景には、技術的な制約や設計上の理由がある一方で、説明不足や責任回避の姿勢が隠れている場合も少なくありません。

「仕様です」を使う際は、相手に配慮した説明や適切な対応を心がけることで、誤解や摩擦を減らし、より良いコミュニケーションを実現できるでしょう。エンジニアリングの現場を円滑に進めるためにも、このフレーズの使い方を見直してみてはいかがでしょうか?