チケット管理の誤算:見積もり工数、いつも大幅オーバー

こんばんは!IT業界で働くアライグマです!

プロジェクトの進行管理をする上で、チケット管理ツールは欠かせません。タスクを細かく分け、工数を見積もり、適切にスケジュールを立てることで、プロジェクトの進行をスムーズにするはずのものです。しかし、現実には「見積もった工数がいつも大幅にオーバーしてしまう」という悩みを抱えているチームは多いのではないでしょうか?

開発の現場では、計画通りに進むことのほうが珍しく、予想外の問題が発生するのは日常茶飯事 です。見積もりの段階では「このタスクは2日で終わる」と思っていたのに、実際には1週間以上かかってしまった、という経験をしたことがある人も多いはずです。

なぜ見積もり工数はこれほどまでにズレるのか? どうすれば精度を上げることができるのか? 本記事では、見積もり工数がオーバーする原因を徹底的に分析し、実践的な対策を紹介します。

見積もり工数がオーバーする主な原因

チケット管理を適切に行い、工数を見積もっているはずなのに、なぜ実際の作業時間はそれを大きく上回ってしまうのでしょうか? その理由は単なる見積もりミスではなく、開発プロセス全体に影響を与える複数の要因が絡み合っている ことが多いです。

不確実性を考慮できていない

ソフトウェア開発は、予測できない事態が発生するのが常です。仕様変更、技術的な課題、外部サービスの障害など、予定通りに進めることが難しい要素が多数存在します。

例えば、新しいAPIを組み込むタスクを見積もる際、「APIドキュメントがしっかりしているから、すぐに実装できる」と思っていたら、いざ実装を始めるとドキュメントの内容が不完全で、問い合わせや調査に膨大な時間がかかってしまう…というケースはよくあります。

このような 「予測できないが、高確率で発生するトラブル」 を考慮せずに見積もりを立ててしまうと、当然ながら実際の工数は大きく膨らみます。

タスクの分解が不十分

「ログイン機能の実装」「管理画面の作成」など、大きな単位でタスクを定義してしまうと、その中に含まれる作業の量や難易度を正確に見積もることが難しくなります。

例えば、「ログイン機能の実装」というチケットを見たとき、開発者によっては「フォームを作って認証処理を組み込むだけ」と考えるかもしれません。しかし、実際には以下のような細かい作業が必要になります。

  • フロントエンドのUI作成
  • バックエンドの認証処理実装
  • データベースのスキーマ変更
  • セッション管理やトークンの発行
  • エラーハンドリングの追加
  • ログ出力や監視ツールとの連携
  • 単体テストや結合テストの作成

このように、タスクを分解せずに見積もると、後から「こんなに作業があったのか」となり、結果的に工数オーバーの原因になります。

バッファを設定していない

理想的な状況を前提に見積もりをしてしまうと、実際に作業が始まったときに思わぬ問題が発生し、遅れが生じます。開発では、レビューやテストでのフィードバック対応、環境構築の手間、他のメンバーとの調整など、見積もり時に想定しづらい作業が発生することが多々あります。

適切なバッファを設定していれば、このような遅延を吸収できますが、バッファなしで「最短で終わる前提」で見積もると、遅れが積み重なっていくことになります。

見積もり精度を上げるための具体的な対策

見積もり工数のズレを減らし、より現実的なスケジュールを組むために、実践できる対策を紹介します。

タスクを細かく分割する

1つのタスクが1日以上かかる場合、さらに細かく分割することを意識しましょう。例えば、「APIの開発」というタスクがあった場合、以下のように分割できます。

  • APIエンドポイントの設計(2時間)
  • データベースのスキーマ変更(1時間)
  • APIの実装(4時間)
  • 単体テストの作成(2時間)
  • APIドキュメントの作成(1時間)

細かく分割することで、タスクごとの進捗が見えやすくなり、見積もりの精度も向上 します。

バッファを考慮した見積もりをする

見積もりを立てる際は、「理想の工数 + バッファ」という考え方を取り入れましょう。

バッファの目安としては、以下のような方法が有効です。

  • シンプルなタスク → 1.2倍
  • 一般的なタスク → 1.5倍
  • 複雑なタスク → 2倍

特に、初めて扱う技術や仕様が未確定なタスクは、多めにバッファを取ることが重要です。

データを活用して見積もる

過去のプロジェクトデータを分析し、実際の工数と見積もりの差を把握することで、見積もり精度を向上させることができます。

  • チケット管理ツールの履歴を分析し、過去の実績と比較
  • 実際の工数を記録し、次回の見積もりに反映
  • チーム内で「見積もりと実績の差」を定期的に振り返る

このように、データに基づいた見積もりを行うことで、より現実的なスケジュールが組める ようになります。

まとめ

チケット管理において、見積もり工数がオーバーするのは、不確実性を考慮していない、タスクの分解が不十分、バッファを設定していない、過去のデータを活用していない など、さまざまな要因が関係しています。

より正確な見積もりを行うためには、タスクを細かく分割し、バッファを考慮し、データを活用して継続的に改善していくことが重要です。

「見積もりは当てにならない」と諦めるのではなく、精度を上げるための取り組みを続けることで、より現実的なスケジュール管理が可能 になります。あなたのチームでも、今すぐ見積もりの見直しを始めてみませんか?