「何もしてないのに壊れた」とはどういうことなのか?

こんばんは!IT業界で働くアライグマです!

システム開発や運用をしていると、ユーザーや他のチームメンバーから「何もしていないのに壊れた」と報告を受けることがあります。この言葉はエンジニアにとってある意味“禁句”のようなものであり、経験豊富なエンジニアほど「何もしていないのに壊れることはない」と直感的に理解しています。しかし、本当に「何もしていない」のに壊れることはあるのでしょうか?この記事では、そうした現象の背景や原因、対策について詳しく解説していきます。

「何もしてないのに壊れた」とはどういうことなのか?

システムは本当に「何もしてない」のか?

一見、何も変更していないはずのシステムが突然壊れたように見えることはあります。しかし、システムは常に静的なものではなく、さまざまな要因が影響を与えているため、実際には何かしらの変化が発生していることがほとんどです。

環境の変化

システムが正常に動作するためには、OS、ライブラリ、データベース、クラウドサービスなど、さまざまな外部要因に依存しています。例えば、サーバーの自動アップデート証明書の有効期限切れが原因で、アプリケーションが正常に動作しなくなることがあります。

データの変化

アプリケーションが扱うデータは常に変化します。例えば、予期しないデータが入力されたことでシステムが誤作動を起こすことがあります。特に、大量のデータが流入した場合や、特定の値がNULLだった場合など、プログラムの想定外のデータが原因でエラーが発生することがあります。

キャッシュの影響

キャッシュはシステムのパフォーマンスを向上させるために有用ですが、キャッシュされたデータが古くなった場合や不整合が発生した場合、システムが誤動作することがあります。例えば、フロントエンドでキャッシュが更新されず、古いJavaScriptが読み込まれることで新しいAPIに対応できずエラーが発生するケースなどが挙げられます。

「何もしてないのに壊れた」原因の具体例

では、具体的にどのようなケースで「何もしていないのに壊れた」と言われることがあるのでしょうか?

依存ライブラリの自動更新

多くのシステムは、外部のライブラリやフレームワークに依存しています。特に、npmやcomposerなどのパッケージマネージャを使用しているプロジェクトでは、依存関係の更新が原因で動作が変わることがあります

例:

  • npmのパッケージがマイナーバージョンアップし、非互換な変更が含まれていた
  • Laravelの依存ライブラリの自動更新によって、特定の関数の挙動が変わった

サーバーの設定変更

システム管理者が意図せず変更を加えてしまうこともあります。例えば、PHPの設定(php.ini)が変更されることで動作が変わるケースなどが考えられます。

例:

  • memory_limit の変更でメモリ不足のエラーが発生
  • session.gc_maxlifetime の設定変更により、セッションがすぐに切れるようになった

ドメイン・SSL証明書の有効期限切れ

SSL証明書の有効期限が切れると、HTTPS接続が失敗し、システムが正常に動作しなくなることがあります。

例:

  • 自動更新が失敗し、手動で証明書を更新する必要があった
  • 証明書が期限切れとなり、API通信がすべてエラーになった

どうすれば防げるのか?

「何もしていないのに壊れた」という状況を防ぐためには、以下のような対策が有効です。

ログの活用

システムがどのような状態で動作しているのかを記録するログの活用は非常に重要です。特に、エラーログやサーバーログを定期的にチェックすることで、予期しない動作の原因を特定しやすくなります

監視ツールの導入

システムの状態をリアルタイムで監視するツールを導入すると、異常が発生したタイミングをすぐに把握できるため、問題の特定が早くなります。

依存ライブラリのバージョン管理

依存ライブラリのバージョンは、明示的に固定することが重要です。例えば、composerのcomposer.lockやnpmのpackage-lock.jsonを管理し、予期しないアップデートが行われないようにすることで、動作が安定します。

自動テストの導入

変更が意図しない影響を与えていないかを確認するためには、自動テストの導入が有効です。ユニットテストや統合テストを実施することで、想定外のバグを事前に検出しやすくなります

まとめ

「何もしていないのに壊れた」という言葉の裏には、必ず何らかの原因があります。環境の変化、データの変化、キャッシュの影響、依存ライブラリの更新など、さまざまな要因が絡み合っているのです。そのため、エンジニアとしては「本当に何もしていないのか?」と疑い、ログや監視ツールを活用しながら根本原因を突き止める姿勢が重要です。

また、日頃からバージョン管理や監視、テストを徹底することで、未然にトラブルを防ぐことができます こうした取り組みを行うことで、「何もしてないのに壊れた」という言葉が聞かれる頻度を減らすことができるでしょう。