
朝会で「順調です」と言いつつ深夜まで作業する現実
こんばんは!IT業界で働くアライグマです!
開発現場の朝会で「順調です」と報告しながら、実際には深夜まで作業を続ける――そんな経験をしたことがあるエンジニアは多いでしょう。
納期に間に合わせるため、障害対応のため、バグ修正のため……理由はさまざまですが、「順調」と言わざるを得ない状況があるのも事実です。
本記事では、なぜこのような状況が発生するのか、その実態、そして少しでも改善するための対策について解説します。
朝会で「順調です」と言いつつ深夜まで作業する現実
なぜ「順調です」と言いながら深夜作業になるのか?
エンジニアが実際には苦しんでいるにもかかわらず「順調です」と報告する理由はいくつかあります。
問題を報告すると余計に時間が取られる
「今ここで問題を報告したら、余計な会議が増えて作業時間が削られる」
そう考えて、あえて問題を表に出さないことは珍しくありません。
例えば、
- 進捗が遅れていることを正直に言うと、追加の報告会が開かれる
- 「なぜ遅れているのか?」と詰められ、対応が後回しになる
- 「それなら○○を優先しよう」とタスクが変わり、さらに混乱する
こうした経験があると、多少の遅れは「大丈夫です」と言い、とにかく黙々と作業を進めるという選択をしがちです。
「順調」と言わないと評価が下がる
エンジニアはチームの一員であり、評価される立場にあります。
もし「遅れています」と言うと、能力が低いと思われたり、責任を追及されたりすることがあります。
- 「そんなに時間がかかるタスクじゃないよね?」
- 「進捗が遅れているのは、計画が甘かったのでは?」
- 「他の人はできているのに、なんで君だけ?」
こうした反応を受けたくないがために、多少無理をしてでも「順調です」と報告し、裏で何とかするのが現実です。
直前までリカバリーできると信じている
エンジニアは「何とかなるはず」と考えがちです。
「まだ2日あるし、徹夜すれば終わる」「バグ修正はすぐできるだろう」――こうした楽観的な見積もりが、結果的に深夜作業を生む原因になります。
しかし、実際には想定外のトラブルが発生し、予定どおりに進まないことが多いのがソフトウェア開発です。
そもそもスケジュールが無茶苦茶
プロジェクトの計画がそもそも厳しすぎる場合、どんなに努力しても間に合わないことがあります。
- 仕様が決まらないうちに開発が始まる
- 途中で大きな変更が入る
- テストの時間が考慮されていない
こうした状況では、進捗報告で「遅れています」と言ったところで、どうにもならないこともあります。
深夜作業の実態
では、「順調です」と言いながら深夜まで作業を続ける現場では、どのようなことが起きているのでしょうか?
ひとり静かにエラーと格闘
日中はSlackやミーティングで作業が中断されることが多く、「夜になってようやく集中できる」というケースもあります。
エラーを解決できるまで帰れないため、気づけば深夜…ということも。
突然の仕様変更に振り回される
「この仕様、やっぱりこう変えたいんだけど、間に合う?」
「UIデザインが変わったので、今週中に反映お願いします」
こうした仕様変更がギリギリで入ると、予定どおりに進むはずだった作業が一気に崩れることになります。
「このバグ、朝までに直らないとヤバい」
デモやリリース直前に致命的なバグが発覚し、深夜まで修正作業が続くこともあります。
- そもそもテストが十分にできていない
- 仕様が曖昧で、どれがバグなのか分からない
- 修正したら別の不具合が発生する
こうなると、エンジニアは「帰れない」状態になり、「とりあえず動くようにする」ことを優先せざるを得なくなるのです。
深夜作業を減らすための対策
このような状況を少しでも改善するためには、どのような工夫ができるでしょうか?
早めのリスク報告を受け入れる文化
「問題があるなら早めに言ってほしい」と言われても、実際に報告すると圧力がかかる環境では意味がありません。
リスクを早めに報告しやすくするためには、以下のような文化を作ることが大切です。
- 「問題が発生するのは当たり前」という前提で会話をする
- 「なぜ遅れているのか?」ではなく「どうすれば解決できるか?」に焦点を当てる
- 無理なスケジュールを押し付けるのではなく、現実的な調整を行う
スケジュールにバッファを持たせる
常にギリギリのスケジュールではなく、余裕を持った計画を立てることが重要です。
- 仕様が固まる前に開発を始めない
- 変更が発生することを前提にスケジュールを組む
- 「テストは最後」ではなく、開発と並行して実施する
残業を前提にしない働き方
「夜に作業すれば間に合う」という前提があると、深夜作業はなくなりません。
- 夕方の時点で作業を切り上げる
- 締め切り前提ではなく、進捗ベースで調整する
- 休日や深夜の作業を評価しない文化を作る
まとめ
エンジニアが朝会で「順調です」と言いつつ深夜まで作業を続けるのは、単なる個人の問題ではなく、開発現場の構造的な課題でもあります。
無理なスケジュール、仕様変更、評価の仕組みが「とにかく裏で頑張る」文化を生み出してしまうのです。
この状況を改善するには、リスク報告を受け入れる文化、現実的なスケジュール、残業を前提としない働き方が必要です。
深夜作業が当たり前にならない環境を作ることで、エンジニアの生産性と健康を守ることができるのです。